防犯カメラショップ

遺棄罪とは?

遺棄の罪

遺棄罪は、扶助の必要な立場の者を移置したり置き去りにする犯罪。

「移置」と「置き去り」

遺棄という行為には、「移置」と「置き去り」という2種類の行為が存在します。

「移置」とは、相手を今いる場所(環境)から危険な場所(環境)へ移転させることにより、相手の生命や健康を危険にさらす行為です。
「置き去り」とは、その名の通り、危険な場所(環境)にいる相手をその場に放置することにより、相手の生命や健康を危険にさらす行為です。


刑法において「遺棄」というとき、それは「移置」のみを意味する狭義の遺棄である場合と、「置き去り」を含む広義の遺棄である場合があります。

遺棄に関する犯罪は細かく分けると3つあり、それぞれの犯罪に関する条文にはどれも「遺棄」と表記されているだけで、「移置」や「置き去り」という言葉は書かれていません。 そのため、各犯罪における「遺棄」を狭義の遺棄と解釈するか広義の遺棄と解釈するかは、専門家の間でも説が別れています。


■遺棄罪の種類

遺棄に関する犯罪には、次の3つがあります。

・単純遺棄罪(刑法第217条)

“老年、幼年、身体障害又は疾病のために扶助を必要とする者を遺棄した者は、一年以下の懲役に処する。”

ここで言う「遺棄」は、一般的な解釈としては狭義の遺棄、つまり「移置」を指すとされています。
介護・扶助の必要な人を、安全ではない場所(環境下)に移転させることで成立する犯罪です。
現代ではほとんど考えられないケースですが、姥捨て山のような行為がこれに該当します。

・保護責任者遺棄罪(刑法第218条)

“老年者、幼年者、身体障害者又は病者を保護する責任のある者がこれらの者を遺棄し、又はその生存に必要な保護をしなかったときは、三月以上五年以下の懲役に処する。”

ここで言う「遺棄」は、「置き去り」を含む広義の遺棄であると解釈されています。
相手に対して保護責任(保護義務)のある者が、その要保護者(要扶助者)を危険な場所(危険な環境下)に置いたまま立ち去ったり、このままでは危険だと考えられるような状況で、その人に対してなんの保護行為も行わないことで成立する犯罪です。

・遺棄致死傷罪(刑法219条)

“前二条の罪を犯し、よって人を死傷させた者は、傷害の罪と比較して、重い刑により処断する。”
単純遺棄罪や保護責任者遺棄罪に該当する行為の結果、その要扶助者の身体や健康に害が生じたり死亡した場合は、遺棄による致死傷罪として、重い刑が科せられます。

■遺棄罪に該当する行為

前項でも触れましたが、単純遺棄罪は一般的に狭義の遺棄と解釈されているため、この犯罪に該当する行為は現代の日本ではあまり見かけられません。

一方、広義の遺棄と解釈されている保護責任者遺棄罪に該当する行為は、現代日本のさまざまなシーンで見受けられます。

保護責任者遺棄罪に該当する行為の代表例

  • 親が乳幼児を、エンジンを切った車内に置き去りにしたまま長時間放置する
  • 1人では食事の支度や食事自体ができない高齢者に、何日も食事を与えない
  • 一緒に酒を飲んでいた友人が酩酊状態になったが、介抱せずに1人にしたまま先に帰宅した

など

遺棄罪に該当するかどうかは、事案によっては判断が難しいものもありますが、加害者側に悪意や罪の意識がなく「これくらい大丈夫だと思った」という軽い認識で誰かを遺棄してしまうケースもあるため、注意をする必要があります。



刑法における犯罪名の一覧