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堕胎罪とは?

堕胎の罪

堕胎罪とは、人間の胎児を堕胎させる行為によって成立する犯罪。
「堕胎」とは、自然の分娩期に先立ち、母体から胎児を分離(排出)することである。
また、母体内にいる胎児を殺すことも堕胎に該当するという考えもある。

堕胎罪の種類

堕胎に関する罪は、堕胎行為の内容によって主に4つに分類され、それぞれの罪について、刑法第212条〜第216条に規定されています。

■自己堕胎罪〈刑法第212条〉
妊娠中の女性自身が、薬物やその他の方法で堕胎したときは、1年以下の懲役に処される。

■同意堕胎罪(同意堕胎及び同致死傷)〈刑法第213条〉
妊娠中の女性の依頼を受け、または女性の承諾を得て堕胎させた者は、2年以下の懲役に処される。
また、その結果当該女性を死傷させた場合は、3ヶ月以上5年以下の懲役に処される。

■業務上堕胎罪(業務上堕胎及び同致死傷)〈刑法第214条〉
医師、助産師、薬剤師又は医薬品販売業に従ずる者が妊娠中の女性の依頼を受け、または女性の承諾を得て堕胎させたときは、3ヶ月以上5年以下の懲役に処される。
また、その結果当該女性を死傷させた場合は、6ヶ月以上7年以下の懲役に処される。

■不同意堕胎罪、不同意堕胎致死傷罪〈刑法第215条・216条〉
妊娠中の女性からの依頼なく、または承諾を得ずに堕胎させた者は、6ヶ月以上7年以下の懲役に処される。
また、その結果当該女性を死傷させた場合は、傷害などの罪よりも重い刑が科せられる。

不同意堕胎の場合は、未遂の場合も罰せられます。

妊婦本人が自分の意思で自ら堕胎した場合よりも、医療従事者などが妊婦の承諾を得て堕胎させた場合の方が量刑が重く、さらに妊婦本人の承諾を得ずに第三者が堕胎させた場合はもっと重い量刑になる、ということです。

人工妊娠中絶は堕胎罪にならないのか?

刑法で定められた堕胎罪の内容だと、人工妊娠中絶もすべて堕胎罪に該当してしまうように思えます。

しかし、母体保護法というもう一つの法律によって、一定の条件を満たす人工妊娠中絶は堕胎罪を免れます。

母体保護法第14条で定められている、合法な人工妊娠中絶の条件とは、次のものです。

  1. 妊娠の継続又は分娩が身体的又は経済的理由により母体の健康を著しく害するおそれのあるもの
  2. 暴行若しくは脅迫によつて又は抵抗若しくは拒絶することができない間に姦淫されて妊娠したもの

これらのいずれかに該当する場合は、人工妊娠中絶が法的に認められます。

ただし、人工妊娠中絶の処置を行うことが許されるのは、各都道府県の医師会が指定する「指定医師」のみです。

人工妊娠中絶を行うためには妊婦本人及び配偶者の同意が必要ですが、配偶者が特定できないときや配偶者が意思表示をすることができないとき、妊娠後に配偶者が死亡したときは、妊婦本人の同意のみで足りるとされています。

注意しておきたいのは、上記の条件に該当していても、妊娠22週以降は人工妊娠中絶は認められないという点です。
妊娠22週以降となると、胎児の成長も進んだ状態であり、倫理的にも母体の健康面においても、いっそう重大な問題とされるのです。

「指定医師」であれば、このことはしっかりと説明してくれますし、妊娠22週以降の中絶手術は、たとえ妊婦からの依頼があっても受け付けることはありません。
もし、妊娠22週以降でも中絶手術ができると言われたら、それは違法な医療行為を行う闇医者だということです。

「指定医師」以外の者に中絶処置を依頼したり、妊娠22週以降の中絶処置を依頼して、人工妊娠中絶を行った場合は、処置を行った者だけでなく、処置を依頼・承諾した妊婦本人も堕胎罪に問われることになるので十分注意しましょう。

違法中絶以外にも堕胎罪になりうるケース

堕胎行為に該当するのは中絶だけではありません。

先の説明にもあるように、妊婦自らが、流産することを目的に服薬や自傷行為などを行って胎児を死亡させたり流産した場合は、自己堕胎罪になります。

また、流産させることを目的に、他人が妊婦に暴行を加えるなどして胎児を死亡させたり流産させた場合は、不同意堕胎罪や不同意堕胎致死傷罪に問われる可能性が高いです。

流産や胎児が死亡まではせず、胎児に対する傷害行為にとどまる場合、堕胎罪が適用されるかどうかは個々のケースによって司法の判断が分かれる傾向にあります。
無論、妊婦に対する傷害罪などは認められるでしょう。